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社会起業家宣言

藤沢
では、どうすれば、
この「社会起業家」としての「生き方」や「働き方」が
大きな広がりとなっていくのでしょうか。
田坂
それには、先ほどの「社会起業家」の定義の二つの意味を もう一度、深く見つめ直してみる必要があります。

まず第一に、「社会起業家」という言葉の「社会」の意味は何か。
そのことを考えてみましょう。

これまで、「社会起業家」について論じる書籍や論文において、 「営利」を目的とした「起業家」や「企業」ではなく、
「社会貢献」を目的とした「社会起業家」 という表現を、しばしば眼にしました。

しかし、改めて言うまでもなく、
いま我が国で活動する「起業家」の中に
「社会貢献」や「社会変革」の志を持っている人は、 決して少なくありません。
また、いわゆる「大企業」で働く人々の中にも
仕事を通じて「社会貢献」をしたいと考えている人もまた、
決して少なくありません。

この「社会起業家」というものが、
我が国において大きく広がっていくためには、
そのことを理解しておくことが大切でしょう。

また、時代の流れを見ておくことも大切です。
なぜなら、これからの時代は、
いわゆる「営利」を目的とした民間企業にも、
「社会責任」や「社会貢献」という姿勢が 強く求められる時代になっていくからです。

例えば、「製造物責任」(PL)や「環境共生」(エコ)
「地域市民」(コミュニティ)や「社会貢献」(フィランソロピー) さらには「文化支援」(メセナ)などの言葉は、
これからの時代の企業が、
単なる「営利」だけを目的とした活動を行っていては、
決して、社会から受け入れられないことを意味しています。
ある意味で、これからの時代の「営利企業」は、
ますます「社会的公器」としての性質を強めていくのです。

一方、こうした時代の流れに対して、逆に、
これまで公益法人などの「非営利組織」が提供していた
「社会サービス」は、その多くが「民営化」される方向に
進んでいきます。
また、NPOなどの「非営利組織」にも、
その自立性と持続性を確保するために、
何らかの「継続的な事業収益」が求められる時代となってきています。

こう考えるならば、そもそも、企業や組織というものを、
「営利」 対 「非営利」という形で、また、
「営利」 対 「社会貢献」という形で対立的にとらえる発想そのものが もはや古くなっているのです。
すなわち、これからの時代、
「営利企業」の側は「社会責任」や「社会貢献」という姿勢を学び、 「非営利組織」の側は「効率性」や「事業収益」という視点を学び、
そのことによって、ヘーゲル哲学の「相互浸透」的なプロセスを通じて、
ある意味で、類似した組織形態に向かっていくのです。

また、「社会起業家」が「社会貢献」のために取り組む分野は、
医療、福祉、環境、教育、文化などの、
いわゆる「社会サービス」の分野といわれてきましたが、
これからの時代には、営利企業が扱う商品とサービスの多くが、
こうした分野に関連したものになっていきます。

こう考えてくるならば、これからの時代においては、
これまで「営利」と言われてきた「起業家」や「企業人」でも、
まさに「社会起業家」としての「社会貢献」ができる環境条件が
ますます整っていくでしょう。
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