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社会起業家宣言

藤沢
なるほど。では、「社会起業家」という言葉の第二の意味は
どう考えればよいのでしょうか。
田坂
そうですね。
第二に、「社会起業家」という言葉の「起業家」の意味は何か。
次に、そのことを考えてみましょう。

これまで、しばしば「社会起業家」という言葉を聞くと、
その「起業家」という言葉に目を奪われ、
「会社を創って独立すること」と誤解する人が少なくありませんでした。

しかし、「社会起業家」という言葉の「起業家」とは、
必ずしも、「会社を創って独立する人」だけを意味していません。
海外の先進的な「社会起業家」の事例を見ても、
企業に在籍したまま地域の再生に取り組んでいる人々や、 役所や病院、学校や警察に所属しながら
新しい社会システム創りに参加する人々が少なくありません。

そういう意味で、
「社会起業家」という言葉に含まれる「起業家」という言葉は、むしろ、
「事業や組織、企業や市場、地域や社会に新しい変革をもたらす人」、
すなわち、「イノベータ」という言葉と同義語になってきています。

しかも、近年のネット革命やIT革命の進展によって、
「バーチャル・コーポレーション方式」の活動を行うことが容易になり、
独立して一つの会社や組織を設立しなくとも、
自由に「起業家的」な活動ができるようになってきています。

そのため、これからの時代には、たとえ「大企業」に所属していても、
「官庁・自治体」に所属していても、
「独立」することなく「起業家的」な活動ができるのです。

また、一方で、たとえフリーエージェントやSOHOなどの 「個人」であっても、人的ネットワークを活用して
「起業家的」な活動ができるのです。

こう考えてくるならば、これからの時代においては、
「大企業」や「官庁・自治体」に所属したままでも、また、
一人の「個人」のままでも、ベンチャー企業を創ることなく、
まさに「社会起業家」としての活動ができる環境条件が
整っていくでしょう。

もとより、こうした「起業家的」な活動をするためには、
それなりの「起業能力」や「経営能力」が求められます。
しかし、これまで新事業を成功させた「起業家」をみても、
最初から「起業能力」や「経営能力」があったわけではありません。
そうした能力は、夢や志を持って活動しているなかで、
目的を持って身につけていくべき能力であり、
また、身につけていくことができる能力なのです。

その意味において、「社会起業家」に、最初から、
高度な「起業能力」や「経営能力」を求めることは
必ずしも絶対的な条件ではありません。

むしろ、「起業家」や「社会起業家」に求められるのは、
二つの力です。
一つは、何度失敗しても挑戦し続ける、「強い志」や「深い使命感」。
もう一つは、周囲に様々な専門能力を持った人々が集まってくれる
「人間的魅力」や「パーソナリティ」。
その二つの力なのです。
藤沢
そうですね。私自身の起業経験でも、その大切さは感じました。
やはり、失敗しない事業はない。そして、一人でできる事業はない。
そう考えると、その二つの能力は、とても大切な力ですね。
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